2021年の学習会のテーマは「怒り」。2回シリーズのうち、ほとんどの方が連続で参加され、関心の高さを感じました。終了後には「怒りの奥深さを感じた」「怒りに隠された気持ちに目をむけようと思った」「日頃から気持ちを意識したい」等のご感想をいただき、運営の私たちにとっても自分をふり返る大切な機会になりました。
怒りとは何なのか、怒りとどう付き合っていけばよいのか、学習会の内容を少しご紹介します。
2020年に引き続き、講師に英国心理士の前田節子氏を迎え、ブレイブキッズ(川口)さんとの共催で行っています。
Part1 自分の怒りのタイプをみてみよう (11月28日)
①きょうだい児と親について
心理的に見たらきょうだい児と親はどんな特徴があるのか?というお話からスタートしました。
〈きょうだい児〉
きょうだい児は過大な期待やがまんを強いられることがあり、過度の責任感をもったり、不公平感をもったりすることがあります。自分のアイデンティティーに関わる価値観や自尊感情を手探りしなければならないような不安定で複雑な状況に置かれていることもあります。
〈病気や障害のある子どもの親〉
病気や障害のある子どもをもつ親は、通常の子育てよりもケアと時間の両面で大変です。先の見えない不安の中で、心身ともに疲労感がたまり、自分の時間をもつことが困難です。そういう状況下で、あきらめ感や「自分の気持ちは誰もわかってくれない」という孤立感を深めることがあります。
そんな中で表出しやすいのが「怒り」で、その奥には様々な気持ちが隠れています。怒りは自分を守るためのバロメータであり、怒りを理解することで、怒りを小さくすることができます。
②自分の怒りのタイプをみてみよう
ここからが本日のテーマです。
怒るポイントは人さまざまで、ほとんどの場合は育った環境(生育歴)と深く関連があります。
子どもは、親や身近な大人の真似をして育ちます。気持ちの感じ方や怒りの表し方なども大人の影響を受けます。
以下の例と照らしあわせて、自分の怒りのパターンをさがしてみました。
〈例1〉
瞬間湯沸かし器のように激しく怒る親と従順な親の組み合わせ。
子どもは何かあってもじっと耐えることを身につけやすい。心の中では理不尽という熱い怒りが育つことも。
自分も怒ると激しい怒り親モードになり、相手が従順でないとさらに怒りを感じることもある。
〈例2〉
一方の親が口うるさく、もうひとりがそこに介入しない組み合わせ。
子どもはやかましい親に対し耳を閉ざしがち。「どうせわかってもらえない」というあきらめから冷たい怒りが育つことも。
人に干渉されたくないので、なるべく自分の考えを話さなくなり、問題をひとりで抱え込む傾向がある。
〈例3〉
理性的な親と干渉しない親の組み合わせ。
子どもの意思を尊重し選択を任せるが、子どもによっては不安を感じ、寂しいという冷たい怒りが育つ。
受け入れてほしいという欲求が強いが、怒りを直接表現することが難しいため、泣いたり物にあたったりする。
★怒りのパターン★
これら以外にも、怒りによって「泣く」「すねる」「つきはなす」「無視」「理屈っぽくなる」「相手の罪悪感を呼び起こすような言動をする」などのパターンもあり、それらが混合していることもあるそうです。
自分の親がどのパターンにあてはまるかどうかがいちばん大事なのではなく、パターンを通して「自分の怒りに目を向ける」ことがポイントだそう。
*親の怒りと自分の怒りは関連がありそうですか?
*特定の相手にばかり怒ってしまうことはありますか?
*怒りのパターンは、続ければ続けるほどそれ以外の表現ができなくなります。
*自分の怒りのパターンがわかると、それだけで楽になります。そして、自分の怒りに客観的になれます。
*腹が立ったら、自分に問いかけましょう。
誰の真似?その真似をしたいの?何に対して怒っているの?
*誰かに対して怒ってしまったら、落ち着いてから謝るとともに、自分の伝えたい事を言いましょう。
*怒りが収まらない場合は、その場を離れることも有効です。
●ご質問に答えて~子どもを叱る時
・親の叱り方で子どもは変わります。ぐずぐず言われたり怒鳴られたりすると、子どもはシャットダウンして、聞かなくなります。「○○して」としてほしいことだけを言って終わりにしましょう。
〈次のページに続きます〉