新型コロナ禍で生活するヒント~おしゃべり会から気づいたこと~

投稿者: | 2020年7月26日

1、情報は自ら取りにいこう。
2、代替サービスもあるんです。
3、きょうだい児に小さな楽しみを。
4、大人には「ひとりの時間」を。
5、日頃のつながりが支え合いに。

 「にじいろもびーる」では、7月上旬にオンラインで「おしゃべり会」を行いました。運営している仲間たちがどんな自粛生活をしていたのか話しながら、地域やまわりの人々についての情報交換もしました。障がいのある子どもときょうだい児と一日中家の中ですごすお母さんは本当に大変でした。一方、支援者側も今まで経験したことのない事態に何をどういうふうに支援したらよいのか戸惑っていました。

 はじめは1カ月くらい我慢すればよいと思っていたのが3カ月にも及びました。そして、緊急事態宣言の解除以降も油断できない状況が続き、長期戦と考えねばなりません。

 今回のおしゃべり会をもとに、新型コロナ禍で生活するためのお役立ちヒントを探ってみました。「あ、こんなこともあるのね」と気づきのきっかけになると幸いです。

1、情報は自ら取りにいこう 

    どんな情報がどこから入ってきたのか、きいてみました。

 例えば、Aさんの住む区では、「親が感染した場合、子どもを預かります」ということがありました。区から各家庭に連絡があったわけではなく、Aさんが所属する「親の会」を通して知りました。その親の会にはいろいろな情報が集まってくるので、会員に伝えてくれますし、会員同士もメーリングリストで情報のやり取りができました。障がい児・者のいる家庭に特化した情報が得られました。

 また、マスク等の物品の寄付や提供も個人に直接というよりも、親の会などの団体に送られてくることが多いようです。病気や障がいのある子どもたちを支援する団体や個人から「親の会」に寄付があり、それを会員に配布するという流れでした。マスク、ぬりえ等が配布されました。

 Aさんは、「親の会に所属していたことで貴重な情報を得られました。会員同士の情報共有も大きかったです。」「会に所属すると運営の協力などやることもありますが、情報が入ってくるとともに、この非常時に自分たち家族の居場所があることのありがたみも身にしみて感じました。」と話していました。日頃から、できるだけ情報を得ようと、役所への問い合わせ等も、一つのことを聞くだけでなく、「うちのような状況(子どもや家庭の状況、所得等)で、該当する手当を全部教えてください」という言い方で広く情報を集めるようにしているそうです。

 情報を得るために、誰もが親の会などの団体に所属しているわけではありませんが、地域やお子さんの障がいに関する支援団体など調べて、HPを見たり問い合わせをしたりして情報を得ることは可能だと思います。また、居住区の役所等に「親が感染した場合は子どもは預かってもらえるのですか?」と重要な事柄は予め確かめておくことも必要かもしれません。

2、代替サービスもあるんです 

 学校が休校になり、障がいのある子どももきょうだいも家にいる時間が長くなりました。障がいのある子が通っていた放課後等デイサービスも感染予防のため休業になったり、感染を心配して自主的に欠席したりするケースが多かったようです。

 厚生労働省ではこうした事態を受けて、代わりの取り組み「代替サービス」を認め、東京都から連絡がありました。利用料をとっての代替サービスです。

 東京都B区の児童発達支援・放課後等ディサービスを行うC事業所では、代替サービスとして、職員の手作りCD、スイッチ操作で動く玩具、あそびのレシピ等を配布しました。オンラインによる取り組みも数回行われました。

 これを利用した重度の障がいのある小学生は、光るスイッチがとても気に入ったそうです。繰り返し遊ぶことができ、自宅での生活の小さな楽しみになったようです。

3、きょうだい児にも小さな楽しみを。 

  保育園・幼稚園や学校に行けないきょうだい児たちも、ひまを持て余していました。きょうだい児Dさんは3月は保育園に行きましたが、4、5月はどうしても必要な時だけに利用を限定されました。家ではもっぱらユーチューブとビデオ。行きたいところに行けず、やりたいこともできず、口癖は「コロナめ~!コロナめ~!」でした。

 Dさんのお母さんにどんな取り組みがあるとよいかきいたところ、「短い時間でもいいからオンラインで子どもが楽しめることがあると見ていられるかな」ということでした。4月10日のきょうだいの日のミニプレゼント(シール)もとても喜んだそうです。家族とだけすごす日常の中で家族以外の人からのアプローチはよいアクセントになるようです。きょうだい児支援の取り組みでオンラインのきょうだい会をやっているところもあります。世の中がそうであるように、きょうだい児支援もオンラインを使ってできることを模索しています。

 私たち「にじいろもびーる」もきょうだい児に小さな楽しみを届けられる方法や内容を考えてみようと思っています。きょうだい児はタブレット端末の操作に慣れている世代ですから抵抗なく受け入れられるのかもしれません。オンラインできょうだい同士のつながりの土壌を作って、実際に会ったときに「あ、本物だ~。」となれたら嬉しいですね。

4、大人には一人の時間を。 

 小児看護に携わる看護師によると、このコロナ禍で3月頃は元気だったお母さん方がだんだん疲弊し、5月頃には泣いている人もいたそうです。毎日3食の食事を作るストレス、夫が一日中いるストレス、ずっと子どもと一緒の毎日、ひとりでトイレにも行けない、余裕がなくて子どもをかまってやれない、ずっと家にいるのに自分のお茶を入れる時間もない。非常事態宣言が解除になった今も、そのしわ寄せで時間のやりくりに追われている人もいます。

 自粛生活でのお母さんの切実な願いは「一人の時間がほしい」でした。子どもたちが保育園・幼稚園や学校に行かないとお母さんが一人で動ける時間はないのです。お母さんたちは謙虚に、5分でいいから一人の時間がほしい、と言います。裏を返せば、24時間のうち5分も自分の時間がとれないのが実情だということです。

 オンラインきょうだい会、代替サービスなどでほんの少しの時間をお母さんに作ってあげることができたらいいのですが。オンライン飲み会で情報交換をしながら友人や仲間と話せたことが気分転換になったという人もいました。

5、日頃のつながりが支え合いに。 

 自粛生活になって、いつも利用しているヘルパーさんを断ったり、通所しているデイサービスを休んだりしたケースは多くありました。人から感染することはもちろん心配だけれど、それよりも自分たちからまわりの人に感染させることを心配したという声を多く耳にしました。いつも支えてくれる人がいない大変さや寂しさをひしひしと感じたそうです。

 また、マスクや消毒液などの物品の不足で不安な日々をすごす中、近所の人がマスクを持ってきてくれたり作ってくれたり、遠くの親戚が送ってくれたりしたそうです。親同士でも、自分のところより必要性の高い人にアルコール綿などを分け合ったと聞きました。また行きつけの薬局の方が「マスクは足りていますか?」と声をかけてくれたそうです。みんな大変な状況の中で、自分たち家族のことを気にかけてくれたことが励みになったそうです。

 小さなできごとや小さな一言で、自分たち家族が認められていると実感します。日頃のつながりが継続し、非常時でも支え合える関係になるのですね。「○○さんはどうしてるかしら?」と思い合えるのはとても大事なことだと感じました。今回「おしゃべり会」を通して、思い合っている気持ちを伝え合うことができてよかったです。

 にじいろもびーるでは、いずれオンラインでみなさんと交流できる機会を持ちたいと考えています。その時には、コロナ禍での出来事や、気づいたこと、生活のヒントなどを教えていただけたら嬉しいです。