思春期のきょうだいについて①(2020年セミナー報告)

投稿者: | 2021年11月21日

2021年11・12月の「アンガーマネージメント学習会」講師の英国心理士 前田節子先生には、昨年「思春期のきょうだい」というテーマでお話していただきました。 
その内容を2回にわけてお伝えします。

そもそも思春期とは

①アイデンティティを確立する時期

*自分は誰なの? どうしたらいいの? 個性とは?

*人と比較して、マネをしたり、反発したり

*周囲との関わり方がわからない

*認められたい、愛されたい

*完璧を求めたり、反抗したり、暗中模索

②身体の変化、第二次性徴

*身体の成長にとまどう

*ホルモンバランスも変化し、不安・イライラ

*身体の変化が心の変化を呼び起こすことも

そんな思春期の子どもを

一人の人間として受け止め、愛し、見守ること

③社会性を育む

ことが大切!

■思春期のきょうだい児の姿
アイデンティティ確立:自立へ向けて

*過干渉になっていませんか

子どもができることを親がやってしまうのは、失敗する子どもを親が受け入れられない気持ちからきています。
親の不安を子どもに映し出していることに気づき、子どもを「守る」から「支える」へ移行していくことが大切です。
子どもが親から離れたいのは健全な成長。「お世話する」だけでなく「愛する」こと。

*自分で選択して、失敗することも大事な経験

失敗してみなければわからないことがあります。自分で選択して失敗する経験は、自分が選んだことを受け入れ、人のせいにせず、再挑戦していくことを学ぶチャンスです。
自分の好みも実際に体験するからこそ実感できます。自分が何が好きで何が嫌いかわからないと、ものごとを正しいか正しくないかで判断することになりがちです。

*自分だけの時間

自分だけの時間は自己肯定力を向上させます。きょうだいが一人で参加できる習い事なども有効です。特にマンツーマンであれば、自分のために大人が向き合ってくれるという感覚を持ちやすいでしょう。

*あまり話さなくなったけれど

思春期の子どもが親とあまり話さなくなるのは自然なこと。
でも、障がいや病気のある子のケアに親は時間と労力をとられ、きょうだいの様子に気づかないことがあるかもしれません。
気持ちの話ではなく、物事の話(予定や連絡等)だけをしていないでしょうか?
できれば、たとえ数分でも親子二人だけの時間をもち、たわいもないおしゃべりやくだらない話でも会話をすることが大切です。

★うつ状態だから話せないことも★
子どもに以下の様子がみられたら、うつ状態ゆえに話せない可能性があります。
その場合は、専門家に相談しましょう。
①睡眠パターンの変化(眠れない/眠りすぎ)②食欲の減退または過食 ③今まで興味のあったことに対して無関心 ④疲れやすい ⑤よく涙ぐんだり、泣いたりする ⑥家族や友人と距離をとる、もしくは距離を詰めすぎる(つかまえてぐちぐち言い続けるなど) ⑦怒りやイライラしている兆候 ⑧「自分は価値がない」等を口走る(「どうしていいかわからない」「誰も何も教えてくれない」等も)⑨成績が悪くなる。

*教えなければわからない

年齢が上がったからといって、急に自分で何でもできるようになるわけではありません。教えなければわからないこともあります。
「ハウスルール」を決め、ダメなことはダメと伝えていきましょう。理屈をこねれば何でも通ると思ってしまうと、人の気持ちを慮ることができなくなる可能性があります。家族でルールについて話し合う文化を作りましょう。

★ハウスルールとは?★
家庭ごとに決めて、しつけに反映されるルールのこと。
幼少期なら例えば「外に出たら手をつなぐ」など往来での歩き方や、思春期ではお小遣いや門限、ゲームやネットの使用場所、時間など。
ルールを家族で話し合ってきちんと明示する。夫婦間で齟齬が起きないことも大切。
きょうだいと親の時間を確保することもハウスルールに入れることができます。

後半のテーマは、身体の変化ときょうだいの葛藤です。
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