思春期のきょうだいについて②(2020年セミナー報告)

投稿者: | 2021年11月22日

■思春期のきょうだい児の姿②
②身体の変化、第二次性徴:性の話に向き合う

*10歳くらいから、少しずつ

親子で話しにくいトピックですが、性病や望まぬ妊娠から子どもを守るためにも話し合う必要があります。
子どもの身体に変化がみられる前から、成長に合わせた方法で少しずつ話していくのが望ましいでしょう。子どもが読める本を用意して、読み終わったら話し合うのも一つの方法です。

*兄弟姉妹との接し方

幼い頃は兄弟姉妹と身体接触が多かったかもしれませんが、年齢に応じて関わり方を変える必要があります。
プライベートゾーンは触らない、むやみに相手の身体に触ってはいけないこと等を双方に教えていきましょう。

イギリスなど欧米では、子どもに対して避妊の仕方などを具体的に教えます。
性的な問題に巻き込まれた子どもに対しては、まず医療が必要か(望まない妊娠や性病等)、犯罪ではないか(レイプ等)をチェックし、そののちにその出来事について、気持ちと行動を整理できるように寄り添っていくことが大切です。



■思春期のきょうだい児の姿③
社会性を育む:友達との関わりや将来に対する葛藤の中で

*友達との時間の大切さ

友達と過ごす時間を確保してあげることが大切。
また、きょうだいは成長するにしたがい、障がいや病気のある兄弟姉妹のお世話をしたがる傾向にあるが、「できるから任せよう」「あれも頼もう」ではなく、きょうだいが家の外で使える自由な時間を守りましょう。お手伝いに対しては「ありがとう」と言葉で感謝を伝えましょう。

*「他とは違う」複雑な感情

友達に兄弟姉妹のことをどう思われるか?という不安や、自分の家族は他とは違うという恥ずかしさ、「わかってもらえない」といった葛藤があることも。
周囲に兄弟姉妹のことをどう話すかは、親がこうすべきと決めるのではなく、できればきょうだいと一緒に考えて、きょうだいが話さないことも含めて選択できるようにしましょう。「話してはいけない」と親から隠すことを求められるのは、負担感が大きくなります。

*過剰な責任感をもつことも

親や社会からの暗黙の期待を感じて、応えなければいけないと頑張りすぎてしまう傾向があります。親の精一杯の姿を見ているため、ものわかりよくふるまうことや、親の愚痴の聞き役、協力者となることもあります。

★家族以外の人によるサポートも大切★
①子どもの理解力に合った(小学校低学年とそれ以降に分ける等の)グループワークの場を作る。一人で考えるのではなく、同年代の話は視野を広げるサポートになる。
②子どもの話を聴く際はスキルや知識も大切。批判的・同情的・解決的にならず、視野の広さと同じ目線をもつ。
③問題を抱えている子どもの悩みはすぐに解決できない問題が多い。気持ちを聴き、小さな目標(ほんの小さな、直近の目標でOK)を立て、子どもの不安や不満を理解し、希望が感じられる関わりをすることが大切。

*罪悪感や孤独感の背景

親は体力的にも気持ち的にもいっぱいいっぱいの状況が多いでしょう。親からきょうだいが十分なサポートを受けられない場合、親もそれをストレスに感じ、きょうだい本人は「頼った自分がよくない」と罪悪感をもったり、がっかりしたりすることがあります。
また、相談したいことがあっても、周囲にわかってもらえなかったり、説明するのが億劫で、ひとりで抱えがち。
世間の障がいに対する無理解や無関心への憤りや、やるせなさを覚えることもあります。

★信頼できる大人の存在★
親に話しづらい、友達にも相談しづらいこともあるので、スクールカウンセラーや信頼できる大人がいることが望ましいでしょう。きょうだいの集まりに参加して、同じ立場の人や受け止めてくれる人に出会うのも一つの方法。
ただし、話すことで傷つくことを恐れる子どももいます。言語化や内面の整理が難しい子どもへの向き合い方としては、以下のような点があげられます
①信頼関係を築くこと、②一緒に考えようという姿勢、③この問題の専門家は本人であるという意識、④すべての子どもにサポートが必要だと考えず、本人に聞くこと

*将来への不安に対して

ゆくゆくは自分が兄弟姉妹の世話をするのか、自分が家を出たら親は大丈夫なのか、将来を考える際に家族の一員としての役割を意識せざるを得ないことは多いです。「あなたの思うようにしなさい」と言われても、どうすればいいかわからず戸惑ったり、突き放されたように思えて家族の一員ではない気がしてしまうこともあります。
将来のことは、家族で話合う場を持ちましょう。ハウスルールの中で話し合いをする文化が育っていると、このような話し合いもスムーズにできます。

親としてきょうだいへの期待があったり、きょうだいが何らかを担おうという気持ちがあったりする時は、実際に何ができるのか確認することが大切です。
きょうだいが役割を担う場合、きょうだい本人が10担えると思っていても、実際に過剰な負担にならないのは3くらいと思うとよいでしょう。具体的に書き出してみるのもよい方法です。
きょうだいが、役割を担いたくないという気持ちがあるならば、それを尊重しましょう。

最後に
思春期の子どもをもつ親のあなたへ

親である自分に対するねぎらいを!
「してあげたい」気持ちは大事だけど、
自分の身体の声にも耳を傾けて。

「いつも、毎日毎日、頑張っているよね」
と自分に声をかけてあげましょう。