にじいろインタビュー 第1弾 「聞かせて!子育て奮闘中のお母さんの気持ち」

投稿者: | 2020年5月31日

●長男がいてくれたから、外へ出られた

 次男が5歳になってから、ショートステイ(短期入所)のサービスを使えるようになり、数カ月に一度、ショートに預けて長男のために出かけられるようになりました。長男は大喜びしながらも「(弟がいないと)なんか変な感じだな」「(弟に)悪いと思っちゃうよね」と気にするから、「たまには弟にも我慢してもらってもいいんじゃない」って、外食や映画、スケートなど普段は次男を連れては行けないところへ出かけます。いつもは私の隣に必ず介助の必要な次男がいるので、長男は隣の席にいること自体が嬉しくて、べったりくっついてきます。「次のデートはいつ?」って楽しみにしてくれています。

 昨夏は初めて家族旅行をしました。近場で川遊びのできるところを探して、思い切って2泊3日で埼玉へ出かけました。長男はずっと旅行に行きたがっていたので、「ホントはハワイがいいけど、サイコー!」って(笑)。移動支援を使えるようになったので、ヘルパーさんに通いで来てもらって、長男はヘルパーさんと釣りをしたり、「ママも露天風呂に入って」とヘルパーさんがいる間に入れるように気遣ってくれたりしました。

 長男がいなかったら、しんどいから家の外に出ていかなかったと思うんです。長男がいたから、出ていかなくちゃ、と思いました。そうして次男も外出する経験を積んで、いい状態になってきています。長男はだんだん私や弟に文句も言えるようになって、最近は文句ばかりで腹立つこともあるけど(笑)、長男の存在がいつも救いになってきた気がします。

●子育て、楽しんでいます!

 出かけるのは難しいことが多いけれど、でも家では普通の家族ですよ。歌番組やアニメを見ながら3人で踊ったり、兄弟でリモコンの取り合いをしたり、長男も文句を言いつつ、でも弟にはやさしいし、弟はお兄ちゃん大好きだし、いろいろなことを共有しています。そういう姿を見てほっとしています。家では障がい児を育てているという意識はなくて、社会に一歩出ると、そういう気持ちにさせられるのですが。長男には家事のお手伝いもしてもらうし、それはきょうだい児だからではなく、家族として当然だと思うんです。私のもとから巣立った後にこの子たちがどう生きていけるかが子育てのテーマなので、自立のための種まきをしている感じ。きょうだい児だからといって必ずしも生きづらさを背負うわけではないと思っています。

 ひとつひとつモヤモヤはあるけれど、子どもたちが大きくなって振り返った時、きっと今がいちばん楽しかったって思うだろうから、あと10年は全力で遊んでやろうと思っています。公園で3人で泥んこになって遊んでますよ。でも、長男はだんだん友達優先になってきました。思春期はまた違ってくるのかな。思春期になったら一度爆発してほしいんですよ。我慢してためてきたものを全部出しちゃったほうがいいんじゃないかなって思っています。

 障がい児を産んで、育ててきて、障がい児の子育てが大好きになって、今の児童指導員の仕事に就きましたし、子どもたちが大人になったら、もう1回障がい児を育てたいくらい、面白い(笑)。だから、保育士になるための学校に通うことにしました。子どもたちも私も将来自立していくために、計画的に動かなくちゃいけないと思っています。

●「にじいろもびーる」の一員として

 実際の活動には、忙しいのでどこまで関われるか分からないし、自分に何が出来るかなんて正直分かりません。でも、親だからこそ感じるリアルや温度があると思っています。それらを共有し、そこから何かが生まれたり、繋がっていくことがあるのかもしれないと思っています。

 地域に「きょうだい」に注目した団体ができたことが、大きな一歩だと思っています。 しんどい時、ふらっと来て、話して、楽になれるような場所に「にじいろもびーる」がなったらいいなぁ。
 障がいのことについていろいろな立場から見える景色は違ってくるから、「きょうだい」だけでくくらないで、いろいろな形の理解があって、でも共通の話ができるような、教員も心理職も看護師も保護者も、おじいちゃんおばあちゃんから子どもまで、地域のみんながふらっと来て一緒に過ごして、自然に理解しあえるようになれたら理想ですね。

〈終〉