にじいろコラム 「きょうだい」という名前

投稿者: | 2020年6月18日

         

 近年、病気や障がいのある人の兄弟姉妹に関心が向けられるようになり、「きょうだい」あるいは「きょうだい支援」という呼び方が知られるようになりました。名前が付けられたことは意味があります。名前があることで存在を認識してもらえますし、呼びかけてもらえますし、初めて聞く人には「それは何?」と考えてもらえます。メディアで取り上げられることも増えました。大人になった「きょうだい」の中には、もっと早くその名前が欲しかった、という人もいるのではないでしょうか。

 しかし一方では、「きょうだい」とひとくくりにはできないよ、みんな同じじゃないよ、と思う人もいるでしょう。そうなのです。「きょうだい」のおかれている状況は実に様々です。きょうだい本人のことだけでなく、障がいや病気のある兄弟姉妹のこと、親のこと、学校のこと、地域のこと、いろいろなことが絡み合って生活しているわけですから。当然、抱えている課題も考え方も違うでしょう。きょうだい支援はとても幅が広いと思います。

しかし、根本にある「きょうだいを尊重したい」という姿勢は普遍です。それぞれが違う状況であっても、共に楽しめることは何だろう、つながり合うことで見えることは何だろう、と考えていけたら嬉しいです。

塩谷淑子